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素人は戦略を語り、プロは兵站を語る、について

文 小林 毅


2018.06.22

こんにちは、あなたのキャリアアップする転職をサポートする、人材コンサルタントの小林毅です。

人材紹介業のコンサルタントを2年以上やっておりますと、継続してサポートしている企業の成長と課題が見えてきます。同時に、新たに相談を受ける企業が増えており、構想するビジネスモデルを伺うことで、新たな発見が得られます。そうなるともはや、人材ビジネス全般に範囲が広がってきており、その点で最近は経営コンサル的な立ち位置になってきたかな、と感じております。

よってこれからは、人材ビジネスに特化した経営コンサルタント、という肩書にしていこうかな、と思っています。

兵站を考えていない人がとても多い

新規のコンサルティングの相談を受けていると、必ずぶち当たる壁があります。それは、兵站(へいたん)を考慮していないこと、です。兵站とは、戦争でいうといわば補給活動で、前線で不自由なく戦うために、最も重要な要素となっています。

会社で言えば経営資源となります。それは、資金はもちろん、人材、事業計画、ブランディング戦略などが含まれます。このいちばん大切な要素を考慮せず、ただただ戦略のことばかりを語る人たちがとても多いのです。

これらの人に共通することが、形容詞を多用することです。「何か面白いこと」「楽しい感じ」「なんかこんな感じです」的な言葉を使い、自分が持つ夢を語ります。理想と信念はビジネスの源ですから、その要素はとても大切ですが、夢だけではご飯は食べられないことも現実です。いわゆる足元を見ろ、ということなのですが、そこを必要と思っていない人たちが多いと感じているのです。

法は犯してはならない(当たり前ですが)

人材ビジネスは、紹介業も派遣業も許可制を取っています。そこには法律があり、ルールがあります。やってはいけない禁止事項も多く存在します。そこは最低限守る、という意識がないとこのビジネスはやってはいけないことになります。

しかしながら、お会いした数社は、明らかに法令違反をしているという事例がありました。例えば、紹介・派遣してはいけない業界を無視している、免許もないのに手数料を取っている、偽装請負を行っている、などなど。そして違反していることに対して、罪の意識が低い訳ですが、そもそも違反していることも知らない人たちが結構います。これらは論外なので、コンサルはお断りしていますし、それがわかった段階で、コンサルの提案すらしません。

人材系のビジネスは、ただでさえ解釈が難しい場面が多く存在します。合法のもとでやっていても議論が出る場面が多くあります。それやっちゃうと信用無くしますよね?という場面を経営者と確認しながら、慎重に進めなければいけないのです。

そのようなビジネスなので、経営者のモラルが低い企業には近づかないようにしています。

人材ビジネスの評価が低い理由

職業紹介責任者講習の講師をしていると、これから人材ビジネスを始めたい、という人たちと多く出会います。お話をすると、皆、人材ビジネスに対するやりがいや使命感を持って始めたいという人ばかりです。例えば、自分が求職者として受けた扱いを何とか変えたい、自分だったらこんなコンサルはしない、と理想に燃えている人たちです。

しかし多くが、人材紹介業をやったことがありません。自分だったら出来る、という根拠なき自信のみなのです。そこで実際始めると、自分が掲げた理想と大きく乖離した現実に直面します。例えば、求職者が約束を破る、面接に来ない、内定辞退することや、求人企業が連絡をくれない、求職者のことを小馬鹿にしたフィードバックをよこす、紹介事業者を相手にしてくれない、などなど。コンサルタントが思うほど、対象者の意識は高くない、というのが現実です。

これらのことは、日常起こり得ることで、少しでも人材ビジネスを知っていれば腹は立つけど受け入れるべきことです。しかし理想高き人は真正面から受け止め、故に、深傷を負ってしまいます。そしてやがて裏切られ続けた結果、理想とは全く逆のサービスを提供するようになります。資金が底を突き出す頃に起こる現象で、自分が生き残るためだから、と開き直るのです。そしてサービスが荒くなり、人材紹介業の評判を落とした挙げ句に撤退するのです。

これは1年程度で撤退する紹介事業者の典型パターンですが、元をたどれば、兵站の準備が出来ていなかったことに尽きます。人材紹介業は結果が出るまで時間が掛かるビジネスでもあります。ようやく慣れた頃に事業撤退とならないよう、しっかりとした事業計画を立てることから始めることが大切です。

戦略を練ることも大切ですが、それを支える兵站はもっと重要なのです。

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