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法科大学院制度の形骸化 司法試験はフェアな競争に戻るか

文 小林 毅


2015.04.11

こんにちは、あなたのキャリアアップする転職を実現させる人材コンサルタントの小林毅です。

春になりゴールデンウィークが近くなりますと、今年も司法試験の日程が近づいたことを実感します。今年は5月13日~17日で、合格発表が9月8日となります。司法試験は2006年から制度改革になり現在に至りますが、その間、当初の思惑とは違った結果をもたらしてきています。

それまでの司法試験は、受験資格の壁は低く、大学在籍時に合格することができました。しかし現在では司法試験を受けるためには、原則法科大学院を卒業しなければなりません。

大学を卒業後、基本3年コースに進み、司法試験を受けるための勉強をするのですが、経済面での負担が大きく、大変非難されている制度です。しかも、卒業後5年間しか受験資格がなく、それに失敗すると、受験資格を失ってしまうことになります。そこで重要になるのが合格率ですが、現在はおおよそ20%です。以前と比べると高い合格率ですが、それでも約80%は不合格になるという計算です。それまで受験にかけた時間とコストなどを考慮すると、ここであきらめなければいけないことは、大変酷な宣告でもありました。

例えばどのくらいのコストが掛かったかという大まかな計算をしてみます。法科大学院3年コースに進んだとき、国立か私立で学費の違いはありますが、分かりやすく1年で約150万円とした場合、3年間で450万円となります。

その間働いていたと仮定し、年収400万くらいと計算してみます。1年で合格すれば、逸失利益は850万円となりますが、5年後に合格した、しなかった場合は、2450万円の逸失利益となります。これはその逸失利益を自分に投資した、ということになりますが、とても大きなリスクであることがわかります。

さらにこれに留まりません。合格しなかった場合、社会に出てくる年齢を考えてみます。22歳で大学を卒業、25歳で法科大学院卒業、5年間勉強し、不合格となると、30歳になっているということです。30歳で就業経験なし、という人物を、企業は採用するか、という問題が出てきます。

私は毎年9月半ばに、このような方たちと面談する機会が増えますが、ほとんどが難しいと言わざるを得ません。職歴がないということは、経験者採用において難しいということだけでなく、社会人としての常識が欠如しているところが大きいのです。ある法務部長が『30歳に名刺の渡し方や電話の取り方を教えるのは厳しいよね』と言っていましたが、まさにその通りだと思います。

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