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ベンチャー企業で学んだこと

文 小林 毅


2018.03.08

こんにちは、あなたの成功する転職をサポートする、人材コンサルタントの小林です。

前回、残業代がよくわからないというコラムを書きましたがその続きです。私は独立するまで4社で働いていたのですが、3社目のベンチャー企業はプロフィールにも触れていません。今の自分のキャリアを形成する上で繋がらないから、ですが、得ることが無かったかというとそんなことはありませんでした。

ベンチャー企業、という意味

その会社は私が入社した当時設立5年目で、福岡発祥の企業でした。社員は全員中途採用で、色々なバックグラウンドを持った人が集まっていました。この会社に在籍したのがわずか8ヶ月でしたが、一番社員同士の仲が良い会社であったと思います。独立してからは飲み会などはほぼ皆無ですが、この頃は毎週のように飲み会があったように記憶しています。

なぜそんなに多かったのかと言えば、ストレスが溜まっていたからです。仕事量が多い割には給与は低い。営業手当があったので残業手当はありませんから、仕事がとても終わらない業務量となると、ほぼボランティア状態で激務をこなすことになります。経営者がそう考えていたので必然、残業することが当たり前の雰囲気が蔓延していました。

人事規定も未整備なので、当然社員レベルもバラバラです。期限を守らない社員が続出し、何から手を付けていいかわからない混乱状態がずっと続いていました。

あるとき資料の提出期限を守らない人にその点を追求したところ、「だって忙しいんだもん!」と逆ギレされました。メールの返信がない人にそのことを言うと、「返信して欲しい内容をコピペしてくれないと、スルーしてしまいますよ。」と開き直られたり。そんなこと、常識的にわかるだろう?と言うと、あなたのほうが常識がない、という不毛な言い争いが続きました。

このとき、ああ、これがベンチャー企業たる所以だな、と感じたのです。今まで一緒に働いていた人のレベル感が違う環境ということがあって、それを前提にしていない事自体が間違いだったのだと強く感じたのでした。

残業をしなかったとき

組織的な問題がわかったので、慣れるまでは自分自身で出来ることを先回りしてやってやろうと切り替えました。本来あるべき姿を自分で演出して、関係者に追認してもらえばいいと考えたのです。簡単に言えば、仕事を奪ったということです。「この間依頼したことやってなければ、やっとくよ。」という感じです。

現場からは感謝されましたが、そんなことより、自分で仕事を支配したいという気持ちのほうが強かったので、仕事を処理して早く切り上げるという方針に切り替えただけでした。残業手当が無いのですから、当たり前の発想です。

入社して半年くらい経つと、定時に帰宅するようにしました。殆どの社員は残って仕事を続けていますが、自分の仕事は終わったので、帰ります、という感じです。すると、一人でよく帰ることができるよな、という声が上司方面から聞こえてくるようになりました。

でも私の業務範囲は終わっているし、給与分は働いていますよ、と言えば、生意気だ、という反応です。上司も帰っていないのに、という感じですが、上司が帰らないと帰れない雰囲気もイヤでした。

そのうちあいつは辞めるだろう、となり、その言葉の通り、8ヶ月で退社しました。短い時間でしたが、この経験は次の仕事でもある人材紹介業に非常に役に立ちました。

安易にベンチャー企業へ転職しようとする人への警鐘とすることが出来たからです。

日本の雇用システムの善と悪

上記のベンチャー企業は、言うなれば、ミニ裁量労働制でした。残業手当が無いので、仕事が終わったら帰宅できる一方、仕事が終わらなければ終わるまで続ける。ただし、営業手当以上の残業手当は払わないというものでした。

この制度のいいところは、従業員は自分でどう行動すれば良いか考えるということです。助け合って仕事をするか、自分の仕事を終わらせ、余った時間は自分の自由に使うか、などです。助け合うことも大切ですし、個人のために時間を使うことも正しいことだと思います。ただそれが堂々と主張できるか、という点が問題となります。

企業は滅私奉公を期待しますし、求めてきます。給与保証しているんだから、一生懸命会社に尽くしなさい、という感じです。このベンチャー企業の経営者から何度かこのような言葉を聞きました。

その都度、我々は従業員の立場、あなたは経営者でしょ?と心でつぶやいていました。自分のためになることが明白であれば、当然仕事を追求しますが、給与の上限が決まっているなら、それなりですよ、という気持ちです。組織には向かない発想かもしれませんが、私はやはり自分のスキルアップなどのために時間を使うほうがいいと考える立場です。これは今も昔も変わりません。

多くの日本企業はチームプレーを大切にしますので、できる人材に仕事が回ってくる傾向にあります。しかし、結果(給与)においては、平等もしくは、不平等になっています。残業をせずに帰った人のほうが生産性は高いはずなのに、遅い人のほうが給与が高くなるという現象です。

そして仕事を手伝ったせいで自分のスキルアップに費やすことができる時間を失った結果、最終的に出来ない人と同じ評価となり、ひいてはリストラ対象になってしまいます。経験とスキルなどが平均となれば、会社は将来性のある若い人材を重視し優先します。

自分の価値追求を放棄した地点でそれに気付くべきなのですが、多くのビジネスパーソンは気づいていません。この気付きが遅ければ、ビジネスパーソンとして命取りになってしまいます。

私はベンチャー企業時代、荷物をおろして、自分も仕事出来ない、と言う側に行こうかと思ったこともありましたが、性格上、それが出来ませんでした。でも結果、そこに染まらなかったので、今の自分があると思っています。

何事も意味があるのです。ベンチャー企業での経験は短い期間でしたが、大変有意義であったと思っています。

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