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カウンセリングには美しさはいらないが、コンサルティングには美しさは必要

文 小林 毅


2018.03.23

こんにちは、あなたの成功する転職をサポートする、人材コンサルタントの小林です。

今年に入って、キャリアカウンセリングの講座を受けています。全十二回の授業で、座学と実技を行うのですが、まあ、これが思った以上に大変で、毎日が葛藤の連続です。

カウンセリングとコンサルティングの違い

キャリアコンサルタントが国家資格となった影響で、人材に携わる人でも資格がないとキャリアコンサルタントと名乗ることができなくなりました。このキャリアコンサルタントのカリキュラムは、キャリアカウンセリングから成っているので、カウンセリングについての知識がないと合格は難しいものとなっています。

私は今まで十数年間、多くの求人企業及び求職者の問題解決をしてきましたので、別物と頭では理解しつつも、ちょっとした誤差を修正できれば何とかなるだろうと考えていました。

しかし、特に実技になると、全くというほど評価されません。最初の実技模試では6段階評価で2です。2!?はあ〜?と言いたいくらい、ショックで、同時に腹立たしくもなりました。そしていつしか、カウンセリングを無駄な技術であると考えるようになり、講座に申込んだことを深く後悔したのでした。

それはそもそも、カウンセリングでは問題解決を誘導してはいけない、という鉄則があるからで、カウンセラーの主観を押し付けるような行為はNGだからです。根本的にコンサルティングとは別物、なのです。

しかし一方でキャリアコンサルタントの資格は取りたい。そのためには、試験で点が取れるような対応が必須となります。言わば、悪魔に魂を売るようなもので、そこに苦しんでいるのでした。

寅さんはカウンセラー

毎週土曜日にBSで放送されている『男はつらいよ』は、いつも楽しみに観ています。録画して気に入った箇所は何度も見返すくらい、私は寅さんファンです。この映画は、寅さんが行く先々で出会うマドンナに恋をして、そしていつも振られる、というパターンが繰り返されますが、その前後のサブストーリーなども含め、深いなぁと思いつつ毎回気付きがあります。

そんなとき、あれ?寅さんって、カウンセラーじゃねぇ?とふと思ったのです。

カウンセラーは相手の気持ちに寄り添い、理解して関係構築をするところから始まります。そして、気付きを与え、やがて相談者が自走する手助けをすることがゴールと言われています。授業でも「答えは相談者(クライアント)にある」という言葉を繰り返します。

寅さんもほぼ同じ展開です。マドンナはいつも何か問題を抱えており、そこに寅さんが現れ、悩みを相談します。寅さんはマドンナの気持ちに寄り添い、関係構築にいつも成功します。「寅さんには不思議と何でも話せる」と多くのマドンナが言っています。

そして、いつも失恋という結末となるのですが、そもそも寅さんにはマドンナの問題を解決できる力量がありません。たまに、マドンナのほうから言い寄ってくることがありますが、そんなときは決まって寅さんが逃げ出してしまいます。マドンナの悩みを解決できないから、と考えると、なるほどと思ってしまうのです。そしてマドンナ自身も結論を導き出し、未来へと自分の足で歩み出すのです。

そうか、俺は寅さんになればいいのか!と思ったのでした。

カウンセリングに美しさはいらない

そんな寅さん手法でその後の実技は何とか上手く行くようになりました。当初は2点だった評価も、段々と合格レベルまで上がってきました。これで試験は乗り切れるのでは?と楽観しそうになったとき、次の問題が発生しました。

ロールプレイングをしているとき、隣に講師が聞き耳を立てていました。そして終わった時に、色々とアドバイスがされたのです。こっちは寅さんなので、相手の話をじっくり聞いて、共感するということに終始していました。試験は15分間なので、それに沿ったロールプレイングです。でも15分では関係構築と問題把握で終わります。だから試験もここまで出来れば良いとされています。

しかし、その後の方向性について諮問がされるので、どういう考えで今後進めていくかを語らなければいけません。

そこで私は、クライアントの今まで苦労した気持ちに寄り添い、励ましていきたい、という回答をしたときに、それでは駄目だとなったのです。

なぜ駄目だったのかという解説は納得できるものでした。ああ、自分はその考えが不足していたなぁと自覚し、次に活かしたいと思いました。

しかし次にこう言われたのです。「小林さんはクライアントに寄り添いたいという美しい話をしていた。しかし、カウンセリングに美しさはいらないのです。」

そこではっと気づきました。私がずーっと感じていた違和感は、まさにこのことだったのです。カウンセリングには美しさはいらない、でもコンサルティングは美しいものである、と。

戦略・戦術はアートである

よくノウハウ本のタイトルに、『●●のバイブル』というものがあります。でも西洋人からすると、聖書でもないのに何でバイブルなんだ?と言われてしまいます。バイブルは聖書のことで、それ以外には使わないというのです。

では英語ではどう訳されるかというと、アートになるのです。孫子の兵法も、Art of Warです。

戦略・戦術はいわゆる問題解決の方法です。このようなアプローチでご飯を食べているのが、昔で言えば軍師であり、現在で言えばコンサルタントとなります。問題を抱えている人が軍師に頼ることにより戦果を上げていくストーリーは、後世に語り続けられます。その話が劇的であればあるほど、人々は感動するのですが、それは同時に美しいと思うからです。

三国志で言えば、劉備が諸葛孔明に頭を下げ、天下三分の計を授かった話など美しさの極みです。「私は50代にして国すら持てず、志をなすことができない。どうすればいいのか?」と劉備が問うた時、あなたが国を持つためにはこうすべきである、と孔明は指南し、実現させたからこそ、今でも歴史に名を残すのです。

しかしもし、孔明がもしカウンセラーであれば、こう返すでしょう。

「50代にして国すら持てず、志をなすことが出来ずにいるのですね。」

カウンセラー孔明は、後世に名を残すこともなく、忘れ去られていくことでしょう。そういえば寅さんも、いつも振られてかっこ悪いのですが、問題解決が出来ないことも理由の一つなのかもしれません。でもマドンナが幸せになれば、寅さんはそれでいいのです。

カウンセラーとコンサルタント、それぞれの役割があるのです。

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