こんにちは、あなたのキャリアアップする転職をサポートする、人材コンサルタントの小林毅です。
最近、日本の労働力問題が深刻化していますが、その一つとして、8050問題というものがあります。
8050問題とは?
これは、親が80代、子が50代という意味ですが、子供が社会的に自立出来ておらず、親の年金収入を頼りに生きているという、何とも切なく、とても大きな問題として注目されています。
私ももうすぐ50歳なので、遠い話ではなく、身近な話題として捉えています。50歳にもなって、親を頼るなんて情けない、というのが一般的な感情だと思いますし、そこまでスネかじりされても、かじるスネすらないだろうと考えてしまいます。
しかし一方で、実家に戻ったとき、両親特に母親の歓迎ぶりはとても大きく感じます。うちの母は75歳ですが、体のあちこちが痛いといいつつ、家庭内では一番動いています。親にとって子はいつまでも子供。お腹へっていないか、何かすることはないか、と過剰に確認してきます。上げ膳据え膳状態は、居心地も良く、ついつい甘えてしまうのです。
甘えることも親孝行、という発想
同時に私も子を持つ親です。大学生と高校生となった子供は、すでに親との関係より、友人などのコミュニティで生活が成り立っています。小学生くらいまでは、常に親と一緒に行動をしていても、年齢を重ねると自立していきます。その状態を受入れなければいけないと思いつつ、寂しい気持ちも同居しています。
そうなると、母から受けている愛情の意味が理解できます。
あるとき、30代半ばの人に、いつまでも親に甘えてはいけないのでは?という趣旨の話をしたとき、「親に甘えるのも親孝行なんだ」と言われた意味がわかるようになりました。
親の愛情は100%だが、子はそうとも限らない
このように、子を持つ親となり初めて親の気持ちを知る、という現象が起こります。しかし、子の役割を演じているとき、親に対する愛情は100%ではないと自覚します。生物学的にこのような遺伝子が組み込まれているのだと思います。子が親離れしないと、親は安心して死ねませんからね。
50代無職の人の話
以前コンサルティングをしていた紹介会社の求職者面談に同席していたときのこと。介護施設を専門に対応していた紹介会社なので、それに見合う人材をさがしていたのですが、まさにこの問題を地で行くような人でした。
「今働いていないから収入が無い。生活費は親の年金頼り。本当は同居したいが、世間体があるから別居している。週末でないとお金を貰えないから平日が辛い」という趣旨でした。
私は話す気力すら持てず、ずっと黙って聞いていました。面談が終了したとき、担当のコンサルタントに、いや〜酷い人だったね〜、という話をしたところ、彼はこう返事してきました。
「まあ、中の下というところですね。世の中にはもっと酷い人がたくさんいます。少なくともあの人は、自分で働こうという意思は持っていますからね。」
なるほど、そんなものか、と感心しましたが、その候補者は我々と別れた後、パチンコ屋に入っていきました。
8050問題を改めて考えてみる
引きこもっている50代は、働きたくないわけでは無いとも言われています。働きたくても仕事がない状況なんだ、と話します。しかし世の中、求人で溢れかえっています。なんでもいいから働けばいいじゃないか、という意見も出てきます。
しかし、有効求人倍率を押し上げている仕事は、いわゆる3K仕事が多く、気力体力とも擦り減らす厳しい仕事ばかりです。今まで高度な仕事をこなしていた大手企業のサラリーマンがリストラされても働かない問題がありますが、こういったミスマッチも大きな原因とされています。
人はなぜ働くのか、というと、遊ぶためと言われています。だから誰もが一生懸命働く訳ではないのです。収入が親経由であれば、それも身の丈にあっていれば、彼らはリアルな問題として捉えることも無いのです。
親は死期が迫ってくると、自分が死んだ後を妄想します。この子は私が死んだらどうなるのだろう、と。やはりこれは、大きな社会問題だと思います。
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