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『同期のサクラ』から見える日本型雇用


こんにちは。あなたのキャリアアップする転職をサポートする、人材コンサルタントの小林毅です。

高畑充希さん主演の『同期のサクラ』が放映中で楽しく観ていますが、典型的な日本型雇用の話だな、と思ってしまいます。


新卒一括採用の限界

少子高齢化が進む日本において、若年層採用は困難を極めています。特に新卒については、今年は史上最高の内定率であったようで、一人の学生が5社以上の内定を獲得するというデータもあるそうです。更に、従業員数300人未満の中小企業が新卒を採用するためには、競争率は10倍ということです。


このような背景を考慮すると、中小企業は新卒採用を諦めるしかなく、中途採用を主軸とすること、更に中高年や外国人の採用を積極的に考えること、などの対策をしなければいけない状況に追い込まれています。


更に現在採用できている企業も、将来的には質の良い学生の確保も困難となるのは明白なので、新卒一括採用は近い将来限界に達することを覚悟しなければいけません。


メンバーシップ型採用の是非

新卒採用に企業がこだわる背景は、採用した人材を自社に都合よく配属し、忠誠心をもたせ、低賃金で雇用することができるためです。よって学生は、なるべく条件のいい会社に殺到し、就職することより就社することを目的に行動していきます。


条件のいい会社は、黙っても学生が集まるので、優秀な学生の確保ができます。優秀の定義は、若年層は学歴に偏ってしまいますので、学歴はとても大切になってくるのです。


しかし、優秀であったはずの学生が企業に入社すると、あとは企業の都合で運命が決まってしまいます。希望する部署があっても、会社側の都合で配属が叶わないことも多く、部署異動が無い限り、やりたくもない仕事に就かされてしまいます。


未熟である学生を育てる、という意味では、このメンバーシップ型雇用は理にかなうのですが、会社と運命を共にすることが条件です。


昨今、会社の寿命が短くなっていることを考慮すると、このメンバーシップ型雇用は従業員にとって大きなリスクともなります。それにいち早く気付く若者が3年以内に退職を決断するのかもしれません。


希望部署に配属されないことがいつわかるのか?

このドラマでは5名の同期が10年間でどう成長していくのかが描かれています。建設会社の話ですが、入社研修を終えたあと、土木課を希望する高畑充希さんは人事部に配属されてしまいます。そこで、土木をやりたい人が人事に配属されて、我慢できるのだろうか、と思ったのです。


私は新卒で住宅メーカーに入社し、営業に配属されました。同期には設計希望もいましたが、工事施工に配属された人もいました。それがわかったのが入社から3ヶ月後です。同期には支店配属の結果で辞めた人、部署配属で辞めた人が一定数いましたが、当時は辞めた同期を批判していました。でも人材の仕事を始めると、辞めた同期ではなく、むしろ会社側のほうが乱暴だったと感じます。


辞めた同期は、すでにバツイチです。そしてもはや新卒ではありません。辞めて何をするの?と聞くと、公務員を目指す、と言っていました。これって結構残酷な話だったと今は思います。


ジョブ型採用=プロ意識

勤務地や職種はとても大切です。中途採用で、入社後に配属を決める、という案件は皆無ですが、もしあっても誰が応募するのか、と思ってしまいます。


しかし新卒採用はそれが当たり前で通っています。言い換えれば、新卒採用には何をしてもいい、ということです。理不尽な配属、地方勤務、部署異動など、会社の奴隷として扱うことが許されているのです。


外国人にこの話をしても、理解してくれません。いったいどの世界の話をしているの?と不思議に思われるのです。どの仕事を専門にするか、そのために今何をすべきか、必要な資格は何か、今は耐える時期だがそのうち花を咲かせたい、そのように考えることがメンバーシップ型雇用では難しいのです。


このドラマを通じて、やっぱり働き方改革は、根っこから考えていくべきだと感じたのでした。

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